機械設備や構造物に欠かせないボルト。しかし、適正トルクで締め付けたはずのボルトが、時間の経過とともに緩んでしまうケースは少なくありません。ボルトの緩みは、設備トラブルや重大事故の原因にもなります。
本記事では、ボルトが緩む原因と代表的な緩み止め対策について、現場目線でわかりやすく解説します。
1. ボルトはなぜ緩むのか?
ボルトの緩みは主に以下の要因で発生します。
■ 振動による緩み
回転機器や搬送設備など、振動が発生する環境では、ボルトに微小な横方向の力が繰り返し加わります。この「微小すべり」が発生すると、摩擦力が低下し、ナットが回転して緩みます。
■ 温度変化
加熱・冷却を繰り返す設備では、材料の膨張・収縮により軸力が低下し、結果として緩みが発生します。
■ 座面のなじみ
締結直後は問題がなくても、時間の経過とともに接触面がなじみ、軸力が低下することがあります。
2. ボルトの緩み止め方法
ボルトの緩み止めにはいくつかの種類があります。用途や環境に応じて適切な対策を選定することが重要です。
① ばね座金(スプリングワッシャー)
もっとも一般的な緩み止め部品です。ばね作用により座面に食い込み、摩擦力を高めます。
メリット
・安価で入手しやすい
・施工が簡単
デメリット
・強い振動環境では効果が限定的
② ナイロンナット(セルフロックナット)
ナット内部のナイロンリングがボルトに食い込み、回転を防止します。
メリット
・振動に強い
・繰り返し使用可能(回数制限あり)
デメリット
・高温環境には不向き
③ ダブルナット
ナットを2枚使用し、互いに締め付けることで緩みを防止します。
メリット
・特殊部品不要
・高温環境でも使用可能
デメリット
・施工にコツが必要
④ ねじロック剤(嫌気性接着剤)
液体の接着剤をねじ部に塗布し、硬化させて固定します。
メリット
・振動に非常に強い
・シール効果もある
デメリット
・分解時に工具や加熱が必要な場合がある
⑤ 機械的ロック(割りピン・ワイヤーロック)
ナットの回転を物理的に止める方法です。重要設備や安全部位に使用されます。
メリット
・確実性が高い
・安全性が求められる箇所に最適
デメリット
・施工に手間がかかる
3. 緩み止め選定のポイント
緩み止めは「とりあえず付ければ安心」というものではありません。選定時は以下を考慮しましょう。
・振動の有無と大きさ
・温度環境
・分解頻度
・安全性要求レベル
・コスト
例えば、頻繁に分解する設備に強力なロック剤を使用すると、メンテナンス性が低下します。一方で、安全性が最優先の箇所では機械的ロックが適しています。
4. 定期点検の重要性
どれだけ優れた緩み止めを使用しても、定期点検は不可欠です。
ボルトの緩みは目視では分からない場合もあります。トルクチェックやマーキングによる確認を習慣化することで、重大トラブルを未然に防ぐことができます。
まとめ
ボルトの緩みは、振動・温度変化・座面のなじみなどが原因で発生します。緩み止めには、
・ばね座金
・ナイロンナット
・ダブルナット
・ねじロック剤
・機械的ロック
などがあり、使用環境に応じた選定が重要です。
設備保全の基本は「正しい締結」と「適切な緩み止め」、そして「定期点検」です。
ボルト1本の緩みが、大きな事故につながることもあります。今一度、締結管理を見直してみてはいかがでしょうか。

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