設備や機械のトラブル原因として多いのが、摩擦・摩耗・潤滑不良です。
これらを総合的に扱う学問が トライボロジー(Tribology) です。
本記事では、トライボロジーの定義から歴史、機械工学における重要性までを、初心者向けにわかりやすく解説します。
トライボロジーとは?
トライボロジー(Tribology)とは、
相対運動をしながら相互作用する表面と、それに関係する実際の問題を対象とする科学と技術
と定義されています(1966年)。
語源はギリシャ語の「トリボス(擦る)」で、以下の3要素を中心に扱います。
- 摩擦(Friction)
- 摩耗(Wear)
- 潤滑(Lubrication)
一見すると専門的ですが、実は日常生活や産業機械と深く結びついた実用的な学問です
トライボロジーの歴史|古代から現代まで
トライボロジーの考え方は非常に古く、紀元前2400年の古代エジプトでは、石像を運搬する際に潤滑剤を使い摩擦を低減していたことが確認されています。
- 滑り軸受の起源:古代エジプト
- 転がり軸受の起源:古代アッシリア
- ローマ時代:玉軸受の原型
- ルネサンス期:レオナルド・ダ・ヴィンチによる軸受スケッチ
このように、軸受技術とトライボロジーは人類の文明とともに発展してきました
トライボロジーは「共通基盤技術」
トライボロジーは、特定の分野に限定される学問ではありません。
- 機械工学
- 材料工学
- 電気・電子工学
- 医療(人工関節)
- 航空・宇宙
- ナノテクノロジー
ナノメートルスケールから地球規模まで扱うため、「共通基盤技術」と位置づけられています
トライボロジーで何を制御するのか?
トライボロジーの主な制御対象は次の3つです。
① 摩擦の制御
- 摩擦を下げる(省エネ・効率向上)
- あえて高摩擦を使う(ブレーキなど)
② 摩耗の制御
- 摩耗を減らして寿命を延ばす
- 加工工程では摩耗を積極的に利用
③ エミッションの制御
- 摩擦音・振動・発熱・摩耗粉の抑制
- 環境負荷の低減
設備トラブルの多くは、これらの制御不良が原因です
機械工学とトライボロジーの関係
機械には必ず動く部分があります。
そのため、機械のクレームや故障原因の多くはトライボロジー問題です。
機械設計者は以下を考慮する必要があります。
- 摩擦面の材料選定
- 形状設計
- 潤滑方法の選択
設備保全の現場でも必須の考え方と言えるでしょう
トライボロジーの社会的・経済的意義
トライボロジーの適切な活用は、
- 省エネルギー
- 省資源
- CO₂削減
につながります。
1986年の試算では、潤滑の最適化だけでGNPの約3%に相当する経済効果があるとされています
近年では「グリーントライボロジー」として、環境技術の中核を担っています。
まとめ|設備保全にこそトライボロジーの理解が必要
- トライボロジーは摩擦・摩耗・潤滑を扱う学問
- 古代から現代まで技術発展を支えてきた
- 機械トラブルの多くはトライボロジー問題
- 省エネ・長寿命化・環境対策に直結
設備保全・メンテナンスに携わる人にとって、トライボロジーは避けて通れない基礎知識です。
改善などにも役立ちますので是非勉強してみてください。
参考書籍


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