1)摩耗とは?【概要説明】
設備や機械を長期間使用していると、部品同士が接触する箇所で徐々に材料が削られていく現象が発生します。
これを摩耗と呼びます。
摩耗は突発的な故障とは異なり、
- 徐々に進行する
- 性能低下や精度悪化として現れる
- 放置すると重大な破損につながる
という特徴があります。
設備保全の現場では、
「摩耗=避けられない現象」である一方、
原因を理解すれば寿命を延ばすことが可能です。
2)磨耗の種類と特徴
摩耗にはいくつかの種類があり、発生メカニズムによって対策が異なります。
代表的な磨耗を以下にまとめます。
摩耗の主な種類と特徴
| 磨耗の種類 | 発生原因 | 特徴 | 発生しやすい部位 |
|---|---|---|---|
| 凝着磨耗 | 金属同士の直接接触 (潤滑不良) | 表面が引きちぎられるように削れる | 軸・摺動部・ガイド |
| アブレシブ磨耗 | 異物や硬い粒子の介在 | 引っかき傷が多数発生 | シリンダ、摺動面 |
| 疲労磨耗 | 繰り返し荷重 | 表面が剥離 フレーキング、ピッチング等で現れる | 歯車、転がり軸受 |
| 腐食磨耗 | 腐食+摩擦 | 腐食で表面が荒れ 急速に進行 | 水分・薬品環境 高温環境 |
各摩耗の解説
凝着摩耗
摩擦の大きい環境。特に潤滑不足時に発生しやすい摩耗です。
同種の金属同士で接触すると摩耗がしやすくなる特性もあります。
滑り軸受が銅合金など、鉄以外で製作されている理由の一つです。
アブレシブ摩耗
粉塵や切粉などの異物混入が主因で、潤滑油やグリス管理の重要性が問われます。
疲労磨耗
ベアリングや歯車などの接触面に繰り返し荷重がかかることで表面に疲労亀裂が発生し
剥離するような摩耗形態です。機械の使用条件が正しくない場合に発生するケースが多いです。
腐食摩耗
水がかかる環境や高温環境などで表面が腐食し進行する摩耗です。
環境に適した材料(ステンレス、メッキ)に変更することで進行を抑えられます。
3)摩耗を防ぐための対策
磨耗対策の基本は、以下の3点に集約されます。
① 潤滑管理の徹底
- 適切な潤滑油・グリスの選定
- 定期的な給油・給脂の実施
摩耗トラブルの約7割は潤滑不良が原因と言われています。
過不足なく適切な量を入れることが大切ですが、
潤滑油やグリスはやりすぎくらいでちょうどいいと思います。
② 異物混入の防止
- シール・フィルターの点検
- 清掃頻度の見直し
- 定期的な更油の実施
油の中には摩耗した金属粉がたまっていきます。
アブレシブ摩耗の原因にもなるので、定期的に更油することが重要です。
また潤滑油やグリスをサンプリングして金属粉の量を調べることで
摩耗の進行がないか確認することができます。
③ 材料・表面処理の見直し
- 硬度の高い材料への変更
- 表面処理(焼入れ、コーティング)
材料の硬度を上げると摩耗量は減っていきます。
ただし、同じ材質を使用すると凝着摩耗が進行する可能性があるので
注意が必要です。
4)まとめ
摩耗はすべての設備で必ず発生する現象ですが、
- 磨耗の種類を知る
- 発生原因を理解する
- 適切な対策を講じる
これらに注意して管理すれば、設備寿命の延長・突発故障の防止につながります。
日常点検の中で磨耗の兆候を見逃さないことが、
安定操業への第一歩と言えるでしょう。


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