ステンレス鋼とは?種類・特徴をわかりやすく解説

機械材料

設備や機械の部品でよく使われる「ステンレス鋼」。
錆びにくい材料として知られていますが、
「なぜ錆びにくいのか?」「本当に腐食しないのか?」
といった点まで理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。

本記事では、設備保全に携わる初心者〜中級者向けに、

  • ステンレス鋼の基本原理
  • 種類と組織の違い
  • 腐食する条件と注意点

図表イメージで理解できる構成で解説します。


1.ステンレス鋼の概要

ステンレス鋼とは何か?

ステンレス鋼(Stainless Steel)とは、
鉄(Fe)を主成分とする鋼に、耐食性を高める元素「クロム(Cr)」を添加した合金鋼です。

JISでは明確な定義文はありませんが、一般的に次の条件が広く使われています。

クロム(Cr)を12%以上含有する鋼をステンレス鋼と呼ぶ

なぜクロムを入れると錆びにくくなるのか?

鋼にクロムを添加すると、表面に不動態皮膜(酸化被膜)が形成されます。

  • クロムが酸素と結合
  • 表面に非常に薄く緻密な酸化クロム皮膜を生成
  • 内部の鉄が酸素や水と反応するのを防ぐ

この皮膜は、

  • 目に見えないほど薄い
  • 傷がついても自然に再生(自己修復)する

という特徴があります。

クロム量と耐食性の関係

クロム含有量耐食性の傾向
約12%ステンレスとしての最低限の耐食性
16〜18%一般環境で十分な耐食性
20%以上高耐食・耐薬品用途

クロム量が多いほど耐食性は向上しますが、
加工性やコストとのバランスが重要です。


2.ステンレス鋼の種類

ステンレス鋼は、金属組織(結晶構造)によって分類されます。
設備保全では「材質名(SUS304など)」と合わせて、この分類を理解することが重要です。


ステンレス鋼の主な分類一覧

系統主な特徴代表鋼種主な用途
フェライト系磁性あり、NiなしSUS430外装、家電部品
マルテンサイト系焼入れ可能、高強度SUS420刃物、シャフト
オーステナイト系非磁性、高耐食SUS304、316配管、食品設備
二相(オーステナイト・フェライト)系高強度+耐食SUS329J4L化学装置
析出硬化系熱処理で高強度SUS630精密部品
ニッケルフェライト系Ni少量、磁性ありSUS444等給湯・水回り

フェライト系ステンレス鋼

  • クロム主体(約16〜18%)
  • ニッケルを含まない
  • 磁石に付く(磁性あり)

メリット

  • 応力腐食割れに強い
  • 比較的安価

注意点

  • 低温で靭性が低下しやすい

マルテンサイト系ステンレス鋼

  • 焼入れ・焼戻しが可能
  • 高強度・高硬度

用途例

  • 刃物
  • 回転軸
  • バルブ部品

耐食性は他系統より低めなので使用環境に注意。


オーステナイト系ステンレス鋼

  • クロム+ニッケルを添加
  • 非磁性(※冷間加工で磁性が出ることあり)
鋼種特徴
SUS304汎用ステンレス
SUS316Mo添加で耐食性向上

SUS304は設備保全で最も遭遇するステンレスです。


オーステナイト・フェライト(二相)系

  • 高強度
  • 孔食・応力腐食割れに強い

化学プラント・海水環境で多用されます。


析出硬化系ステンレス鋼

  • 時効処理で強度を向上
  • 高精度部品向け

ニッケルフェライト系ステンレス鋼

  • Niを抑えた省資源型
  • 給湯器・水回り用途が中心

3.ステンレスは腐食しないのか?

結論:ステンレスでも腐食はする

「ステンレス=錆びない」は誤解です。
正しくは、

ステンレスは“腐食しにくいが、“腐食しない”わけではない


ステンレスが腐食する代表例

腐食の種類原因発生しやすい環境
孔食塩化物イオン海水、洗浄剤
隙間腐食水分滞留フランジ、重ね部
応力腐食割れ応力+腐食環境高温・塩素環境

ステンレスも腐食します。またステンレスと異種の金属が接触すると電位差で卑な側の金属(鉄やアルミなど)が急速に摩耗することがあり「電食」とよばれています。
ボルトや配管を部分的にステンレスにする場合は直接触れないようスペーサーを入れるなど注意が必要です。


設備保全での注意ポイント

  • 「ステンレスだから大丈夫」と思わない
  • 使用環境(温度・薬品・塩分)を確認
  • 鉄とステンレスが触れある環境は電食に注意する

参考規格・参考文献(情報ソース)

  • JIS G 4303:ステンレス鋼棒
  • JIS G 4304:熱間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
  • JIS G 4305:冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
  • 日本鉄鋼協会 編「鉄鋼材料学」
  • ステンレス協会 技術資料

まとめ(設備保全の視点)

  • ステンレスはクロム12%以上が基本
  • 種類によって耐食性・強度・磁性が大きく異なる
  • 腐食トラブルは材質選定ミス+環境要因が原因

ステンレスの特徴を理解して設備管理に活かしていきましょう!

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