機械や設備を安全に運転するうえで、ボルトの締め付けトルク管理は非常に重要です。
トルクが不足しても、締めすぎてもトラブルの原因になります。
本記事では、
- ボルトの適正締め付けトルク
- 適正トルクで締めない場合のリスク
- 実務で使われる緩み止めの種類
を分かりやすく解説します。
1.ボルトの適正トルクとは
ボルトの適正締め付けトルクとは、
「ボルトに適切な軸力(締付力)を与え、緩みや破損を防ぐためのトルク値」です。
適正トルクは、次の要素で決まります。
- ボルト径(Mサイズ)
- ボルト強度区分(例:8.8、10.9)
- 摩擦係数(潤滑の有無)
ボルトの適正締め付けトルク表(代表例)
※乾燥状態・一般的な機械締結を想定した参考値です。
| ボルト径 | 強度区分 8.8(N·m) | 強度区分 10.9(N·m) |
|---|---|---|
| M6 | 9 ~ 11 | 13 ~ 15 |
| M8 | 22 ~ 26 | 32 ~ 38 |
| M10 | 44 ~ 52 | 65 ~ 75 |
| M12 | 75 ~ 90 | 110 ~ 130 |
| M16 | 180 ~ 210 | 260 ~ 300 |
ポイント
- 潤滑油を塗布すると摩擦が下がり、同じトルクでも軸力が大きくなる
- メーカー指定トルクがある場合は、必ず指定値を優先
2.適正トルクで締めない場合の問題点
締めすぎた場合
締め付けトルクが過大になると、以下のトラブルが発生します。
- ボルトの塑性変形(伸び)
- ネジ山の損傷
- ボルトの疲労破壊・突然破断
- フランジや部品の変形
特に高強度ボルトは、一見問題なく見えても
内部でダメージが進行しているケースが多く、注意が必要です。
緩んでいる場合(締め付け不足)
締め付け不足の場合は、次のような問題が起こります。
- 振動によるボルトの緩み
- 異音・ガタつきの発生
- 部品の位置ずれ
- 最悪の場合、脱落・重大事故
設備保全では、
「緩み → 振動 → さらに緩む」という悪循環が起こりやすい点が重要です。
ただし、適正トルクで締めていても緩む場合がありますので別の機会に説明したいと思います。
3.緩み止めの種類
適正トルクで締めても、振動や温度変化によってボルトは緩むことがあります。
そのため、用途に応じて緩み止め対策を併用します。
主な緩み止め方法
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| スプリングワッシャ | 安価・簡易 | 軽負荷部位 |
| ダブルナット | 確実性が高い | 振動の多い箇所 |
| ナイロンナット | 繰り返し使用不可 | 小型機器 |
| ねじロック剤 | 振動対策に有効 | 中〜高振動部 |
| 座金(歯付き) | かじり防止兼用 | 薄板締結 |
重要ポイント
- 緩み止めは「トルク管理の代替」ではない
- 適正トルク + 緩み止めが基本
4.まとめ
- ボルトの締め付けトルクは設備の安全性を左右する重要要素
- 締めすぎは破損リスク、締め不足は緩み・事故リスク
- 適正トルクはボルト径・強度・潤滑条件で変わる
- 振動がある箇所では、緩み止め対策を必ず併用
日常点検やオーバーホール時には、
「感覚締め」ではなく、トルク管理」を徹底することが、
トラブル防止と設備寿命の延命につながります。


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