クロムモリブデン鋼(Cr-Mo鋼)とは?特徴・成分・用途をわかりやすく解説

機械材料

概要|クロムモリブデン鋼について

クロムモリブデン鋼(Chromium Molybdenum Steel、通称クロモリ)は、
クロム(Cr)とモリブデン(Mo)を添加した合金鋼で、高強度・高靭性・耐熱性に優れることから、
機械部品・構造部材・高温環境下で使用される部品に広く用いられています。

日本では JIS G 4051(機械構造用合金鋼) に規定されており、
代表的な鋼種として SCM415、SCM420、SCM435、SCM440 などがあります。


1. クロムモリブデン鋼の特徴

高強度・高靭性を両立できる材料

クロムモリブデン鋼の最大の特徴は、
焼入れ・焼戻しによって高い強度と粘り強さ(靭性)を得られる点です。

  • 焼入性が高い
  • 心部まで強度が入りやすい
  • 疲労強度に優れる
  • 耐熱性・耐摩耗性が高い

このため、動力伝達部品や高負荷部品に適しています。


クロム鋼との違い

クロム鋼とクロムモリブデン鋼は名前が似ていますが、
モリブデンの有無が性能に大きな違いを生みます。

項目クロム鋼クロムモリブデン鋼
主な合金元素CrCr + Mo
焼入性良い非常に良い
高温強度普通優れる
焼戻し脆性起きやすい起きにくい
主な用途比較的軽負荷部品高負荷・高信頼部品

モリブデンの添加により、焼戻し脆性の抑制と高温強度の向上が可能になります。


2. 化学成分と機械特性(JIS参照)

化学成分【JIS G 4051】

項目SCM415SCM420SCM435SCM440
炭素(C)0.13~0.180.18~0.230.33~0.380.38~0.43
ケイ素(Si)0.15~0.350.15~0.350.15~0.350.15~0.35
マンガン(Mn)0.60~0.850.60~0.850.60~0.850.60~0.85
クロム(Cr)0.90~1.200.90~1.200.90~1.200.90~1.20
モリブデン(Mo)0.15~0.300.15~0.300.15~0.300.15~0.30
りん(P)0.030 以下0.030 以下0.030 以下0.030 以下
硫黄(S)0.030 以下0.030 以下0.030 以下0.030 以下

SCM415・420:低炭素 → 浸炭焼入れ向け
SCM435・440:中炭素 → 調質(焼入焼戻し)向け
Cr・Mo量はほぼ共通で、炭素量が性格を決めている


機械的性質(焼入焼戻し後の代表例)

※JISでは「熱処理後の代表値」として扱われることが多く、
ここでは実務でよく用いられる目安値を示します。

項目SCM415SCM420SCM435SCM440
主な熱処理浸炭焼入浸炭焼入焼入焼戻焼入焼戻
引張強さ約 785 N/mm²約 930 N/mm²約 930~1080 N/mm²約 980~1130 N/mm²
降伏点約 590 N/mm²約 785 N/mm²約 785 N/mm² 以上約 835 N/mm² 以上
伸び約 15 % 以上約 14 % 以上約 12 % 以上約 12 % 以上
絞り約 45 % 以上約 45 % 以上約 45 % 以上約 40 % 以上
硬さ(目安)HRC 20~30HRC 25~35HRC 28~34HRC 30~36

※熱処理条件により変動します。


3. クロムモリブデン鋼の用途

クロムモリブデン鋼は、強度・信頼性が要求される部品に多用されます。

主な用途例

  • 自動車部品
    • クランクシャフト
    • コンロッド
    • ギヤ・シャフト
  • 産業機械部品
    • 歯車
    • 高強度ボルト
    • 軸受部品
  • 建設・プラント設備
    • 高温配管
    • 圧力容器部材
  • 二輪・スポーツ用途
    • バイクフレーム
    • 高強度構造パイプ
    • ロードバイクのフレーム

👉 「強度が必要だが、割れやすい材料は避けたい」場面で選ばれる鋼材です。


まとめ

  • クロムモリブデン鋼は 高強度・高靭性・耐熱性に優れた合金鋼
  • モリブデン添加により、クロム鋼よりも信頼性が高い
  • 焼入焼戻しによる性能調整が可能
  • 自動車・機械・設備分野で不可欠な材料

多くの機械で使用されている鋼材ですので参照できるようブックマークお願いします。

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