炭素当量(Ceq)とは?意味・計算方法・注意点をわかりやすく解説【JIS基準】

機械材料

設備保全や溶接補修の現場では、
「この鋼材、溶接して大丈夫か?」
という判断が必要になる場面が多くあります。

その判断指標として使われるのが炭素当量(Carbon Equivalent:Ceq)です。

本記事では、

  • 炭素当量の意味
  • 計算方法
  • 現場で使う際の注意点

JIS規格をベースに、初心者にもわかりやすく解説します。


1.炭素当量(Ceq)とは?

炭素当量(Ceq)とは、鋼材の化学成分から溶接性を判断するための指数です。

鋼材の溶接性は、炭素(C)だけでなく、

  • マンガン(Mn)
  • クロム(Cr)
  • モリブデン(Mo)
  • ニッケル(Ni)

などの合金元素の影響も大きく受けます。

炭素当量は、
「これらの元素を炭素量に換算して、溶接割れの起こりやすさを数値化したもの」
と考えると理解しやすいです。

炭素当量が示す意味

  • Ceqが低い → 溶接しやすい(割れにくい)
  • Ceqが高い → 溶接割れのリスクが高い(予熱や後熱が必要)

2.炭素当量の計算方法

2-1.炭素当量(Ceq)の代表的な計算式

JISや国際的に広く用いられている代表的な炭素当量の計算式は以下です。

Ceq = C + Mn/6 + (Cr + Mo + V)/5 + (Ni + Cu)/15

各元素の意味

記号元素名
C炭素
Mnマンガン
Crクロム
Moモリブデン
Vバナジウム
Niニッケル
Cu

※数値は**質量%(mass%)**を使用します。


2-2.計算例(SS400相当鋼を想定)

元素含有量(mass%)
C0.17
Mn0.75
Cr0.02
Mo0.00
V0.00
Ni0.02
Cu0.02

計算すると、

Ceq = 0.17
    + 0.75/6
    + (0.02 + 0.00 + 0.00)/5
    + (0.02 + 0.02)/15

Ceq ≒ 0.32

  Ceq ≒ 0.32
※SS400の化学成分は規定されていませんので、あくまで参考値です。


2-3.炭素当量と溶接性の目安

炭素当量(Ceq)溶接性の目安
~0.30溶接性良好
0.30〜0.5注意が必要(余熱、後熱の実施)
0.5~溶接割れのリスク大

※あくまで一般的な目安です。


3.炭素当量を用いる際の注意点

3-1.炭素当量だけで判断しない

炭素当量は非常に便利な指標ですが、
溶接性のすべてを表すものではありません。

以下の要因も必ず考慮が必要です。

  • 板厚(厚板ほど割れやすい)
  • 溶接方法(被覆アーク、MAG、TIGなど)
  • 入熱量
  • 冷却速度
  • 施工環境(低温・湿度)

3-2.JIS規格では「参考値」として扱われる

JIS規格において、炭素当量は
「溶接性評価の参考値」として位置づけられています。

設計や施工の最終判断は、

  • 規格本文
  • 施工基準
  • 過去の実績

と組み合わせて行うことが重要です。


3-3.高炭素当量材では予熱・後熱を検討

炭素当量が高い鋼材では、以下の対策が有効です。

  • 溶接前の予熱
  • 溶接後の後熱
  • 低水素系溶接材料の使用

設備保全における補修溶接では、
「とりあえず溶接する」ことはかなり危険です。
炭素当量を活用して溶接可能か判断するようにしましょう


参考規格・情報(ソース)

  • JIS G 3101:一般構造用圧延鋼材
  • JIS Z 2241:金属材料の硬さ試験方法
  • JISハンドブック 鉄鋼
  • IIW(国際溶接学会)炭素当量(Ceq)定義式

まとめ(設備保全の視点で)

  • 炭素当量は溶接性を判断する重要な指標
  • 計算式を知っておくと現場判断が楽になる
  • ただし炭素当量だけで判断しないことが重要

設備保全の現場では、
炭素当量の理解は大きな武器になります。

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