機械部品や産業機械の設計・保全において、材料選定は性能・寿命・コストを大きく左右する重要な要素です。
中でも、機械構造用炭素鋼(SC材)は、シャフトや歯車など多くの機械部品に使われている代表的な鋼材です。
本記事では、以下の内容をわかりやすく解説します。
- 機械構造用炭素鋼(SC材)の特性と用途
- SC材の機械特性・化学成分(JIS規格を基に解説)
- SS材・SC材・SCM材の違いと用途の違い
機械構造用炭素鋼(SC材)の特性
SC材とは?
機械構造用炭素鋼(SC材)は、
JIS規格「JIS G 4051」で規定されている鋼材で、
機械部品として使用することを前提に設計された炭素鋼です。
代表的な鋼種には以下があります。
- S20C
- S25C
- S30C
- S35C
- S45C
※「S」はSteel、「数字」は炭素量を意味します。
SC材の主な特性
SC材の特徴は以下の通りです。
- 炭素量が明確に規定されている
- 熱処理(焼入れ・焼戻し)による強度調整が可能
- 切削加工性・溶接性のバランスが良い
- SS材よりも機械的性質が安定している
そのため、歯車や軸など強度や耐摩耗性が求められる機械部品に適しています。
機械構造用炭素鋼(SC材)の主な用途
SC材は、以下のような部品に多く使用されます。
- 回転軸(シャフト)
- ギヤ・歯車
- ピン・ボルト類
- カップリング
- 各種機械部品のベース材
特にS45Cは、機械設計では定番材料として非常に使用頻度が高い鋼材です。
SC材の化学成分(JIS G 4051)
以下は、代表的なSC材の**化学成分(質量%)**です。
※JIS G 4051を参考にしています。
| 鋼種 | C(炭素) | Si(ケイ素) | Mn(マンガン) | P(リン) | S(硫黄) |
|---|---|---|---|---|---|
| S20C | 0.18~0.23 | 0.15~0.35 | 0.30~0.60 | 0.030以下 | 0.035以下 |
| S30C | 0.28~0.33 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
| S45C | 0.42~0.48 | 〃 | 〃 | 〃 | 〃 |
炭素量が増えるほど強度・硬さは上がるが、靭性や溶接性は低下します。
SC材の機械特性(代表例)
※数値は代表値であり、熱処理条件や寸法により変化します。
| 鋼種 | 引張強さ(N/mm²) | 降伏点(N/mm²) | 伸び(%) |
|---|---|---|---|
| S20C | 約410 | 約245 | 約25 |
| S30C | 約540 | 約315 | 約20 |
| S45C | 約650 | 約355 | 約16 |
SC材は熱処理によってさらに高強度化が可能で、
焼入れ・焼戻し後は部品用途が大きく広がります。
SS材・SC材・SCM材の違いと用途の違い
3材質の位置づけ
| 材質 | 規格 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| SS材 | JIS G 3101 | 引張強さのみ規定、安価 | 構造物、フレーム |
| SC材 | JIS G 4051 | 炭素量規定、熱処理可 | 機械部品 |
| SCM材 | JIS G 4051 | Cr・Mo添加、高強度 | 高負荷部品 |
用途の違いを簡単にまとめると
- SS材
→ 強度計算がシンプル、安価
→ 機械部品には不向き - SC材
→ 機械部品向けの標準材料
→ コストと性能のバランスが良い - SCM材(クロムモリブデン鋼)
→ 高強度・高耐久
→ 重要保安部品・高負荷部品向け
まとめ|SC材は機械部品の“標準材料”
機械構造用炭素鋼(SC材)は、
- 機械部品に必要な強度と加工性を備え
- 熱処理による性能調整が可能
- SS材より信頼性が高く、SCM材より低コスト
という点から、機械設計・設備保全の現場で最も使いやすい材料と言えます。
用途や負荷条件に応じて、
SS材・SC材・SCM材を正しく使い分けることが、設備の長寿命化につながります。


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